双眼鏡の基礎知識


用途に合わせて双眼鏡を選ぼう

双眼鏡選びで重要なのは、用途に合わせて最適な倍率や機能を持つものを選ぶことです。

特に注意してほしいのは倍率です。遠くの目標物が大きく見える点を重視して倍率が高い双眼鏡を選ぶのもいいのですが、倍率が高くなると像が大きく見える一方で、実視界が狭くなり、目標が探しにくくなります。さらに、倍率が高いほど手ぶれの影響も出やすくなります。倍率は高ければいいという単純なものでなく、用途に応じた使いやすい倍率を選択することが重要なのです。

一般的には倍率が6~10倍程度の双眼鏡が使いやすいとされていますが、バードウォッチングでは、動きを追いやすく、手ぶれも抑えられる8~10倍程度の倍率のものが適しています。観劇用としてなら、倍率はそれほど高くないほうが使いやすく、携帯性も大切な要素になります。

また、用途によっては双眼鏡の機能も重要です。ホエールウオッチングなどの場合は、防水機能を持つものがいいでしょう。スポーツ観戦など動きの速いものを見るなら、ピント合わせがやりやすいものが使いやすいです。

このように、用途によって双眼鏡に求められる倍率と機能は異なっています。ここで紹介する用語を参考にして、自分の使い方に合った双眼鏡を選んでください。


各部の名称

双眼鏡の種類によって各部の名称は異なりますが、8×42 PRO/10×42 PROなど多くの双眼鏡が採用するプリズム式では、対物レンズ、プリズム、接眼レンズを配置し、ピント調整ダイヤルや視度調整リングなどが備わっています。

また、何倍の大きさで見えるのかを表す「倍率」と、明るさの目安である「対物レンズ有効径」などがひと目でわかるように、双眼鏡の製品名にはそれらの値が表記されているものが多くなっています。


倍率

倍率は、双眼鏡で覗いた像がどれだけ大きく見えるかを示す値です。たとえば、倍率が「10倍」の双眼鏡の場合、100m離れたところにあるものが、裸眼で10mの距離から見るのと同じ大きさで見えることになります。基本的に倍率が高いほど大きく見えますが、視野は狭くなります。


対物レンズ有効径

対物レンズの口径のことで、双眼鏡の明るさの目安となります。対物レンズ有効径は大きいほど集光力があり、明るさが増します。ただし、有効径が大きくなるほど双眼鏡は大きく重くなります。手持ちで使用する双眼鏡は、50mmぐらいの有効径が限度とされています。


ひとみ径と明るさ

双眼鏡のひとみとは、接眼レンズを30cmほど離して見ると現れる明るい円のことです。その大きさをひとみ径といいます。ひとみ径は「対物レンズ有効径(mm)÷倍率(倍)」で算出でき、双眼鏡の明るさは「ひとみ径(mm)」2で表されます。ひとみ径が大きいほど明るい像が得られることを意味します。

原則として、人間の瞳孔径よりひとみ径のほうが大きければ、双眼鏡を覗いたときに明るく感じます。逆に、ひとみ径のほうが小さいと、裸眼で見るときよりも暗く感じます。人間の瞳孔径は明るさや年齢によって大きさが変化し、明るいところでは2~3mm程度、暗いところでは5~7mm程度になります。このため、明るいところで使う双眼鏡なら2~3mm以上、逆に暗いところで使う双眼鏡なら5~7mm以上のひとみ径を持った双眼鏡を選ぶといいでしょう。

明るいところでは

明るいところでの人間の瞳孔径は2~3mm程度。ひとみ径3.1mmの防水双眼鏡 8×25 WP IIなどでも十分な明るさが得られます。

暗いところでは

暗いところでの人間の瞳孔径は5~7mmぐらいになるので、8×42 PRO(ひとみ径5.3mm)など、ひとみ径が5mm以上の双眼鏡なら薄暗い場所でも十分な明るさが得られます。


双眼鏡の3つの視界

実視界

双眼鏡を固定した状態で見ることができる範囲のことで、対物レンズの中心点から測った角度で表します。実視界が広いほど目標物が探しやすいことを意味します。双眼鏡の倍率が高くなるほど実視界は狭くなります。

1000m視界

双眼鏡を固定した状態で見ることができる、1000m先の範囲をm(メートル)で表したものです。

見かけ視界

双眼鏡を覗いたときにひらけて見える視界の角度のことです。見かけ視界が広いと、高倍率でも実視界が広いことを意味します。

同じ倍率の双眼鏡でも、見かけ視界が広い広視界型のほうが迫力のある像を楽しめます。広視界型の基準は規格によって異なります。旧JIS規格(JIS B7121:1993)では、見かけ視界を「実視界×倍率」で算出し、見かけ視界65°以上のものを広視界双眼鏡と呼びました。

ISO規格(14132-1:2002)ならびに新JIS規格(B7157:2003, B7121:2007)では、見かけ視界を「2×tan-1(倍率×tan ω)※2ω:実視界」で算出し、見かけ視界60°以上のものを広視界型双眼鏡と呼ぶようになりました。

10×42 PROの場合。イラストはイメージです。

アイレリーフ

双眼鏡を覗いたときにケラレが発生することなく全視野を見ることができる、接眼レンズ最終面から目の位置までの距離のことです。この距離が長ければ、メガネをかけて覗く場合でも快適な視界が得られます。


最短合焦距離

双眼鏡でピントが合わせられるもっとも短い距離のことを最短合焦距離といいます。草花や昆虫など近くのものを観察する場合は、最短合焦距離1.5mを実現した8×42 PRO/10×42 PROなど、最短合焦距離が短い双眼鏡のほうが便利に使えます。


レンズコーティング

光はレンズやプリズムを通るときにその表面で反射して、量が減り、像が暗くなります。この光量の減少を防ぐのがレンズ表面に反射防止の膜を施すレンズコーティングです。単層膜のモノコーティングと、複数の膜で形成されるマルチコーティングがありますが、マルチコーティングを施したレンズのほうが光の透過率が高く、明るくクリアな視界を実現できます。

  • モノコーティングの場合
    レンズ面での反射が大きく、光の損失が多い
  • マルチコーティングの場合
    レンズ面での反射が小さく、光の損失が少ない

双眼鏡の種類

現在の多くの双眼鏡は、対物レンズと接眼レンズに凸レンズを使用し、プリズムで像を正立するプリズム方式となっています。プリズムのタイプによってポロとダハの2つに分けられます。このほか、双眼鏡にはガリレイ方式、ミニポロ方式という方式もあります。

ポロプリズム方式

イタリア人ポロが発明したポロプリズムを使用。光学性に優れ、低倍率から高倍率まで明るくシャープな視界が可能です。

ダハプリズム方式

ダハとはドイツ語で「屋根」を意味します。ダハプリズムは接眼レンズと対物レンズの光軸を一直線に設計できるため、小型・軽量なのが特徴です。

ガリレイ方式

オペラグラスなどに使われる方式で、凸レンズと凹レンズを使った簡単な構造のもの。プリズムを用いなくても正立した像が得られます。この方式の双眼鏡は構造が簡単なため比較的安価で作ることができますが、実用としては4倍程度の倍率までしか得られません。名称は、ガリレオ・ガリレイが最初に天体を観測した望遠鏡に由来します。

ミニポロ方式

ポロプリズム方式の変形で、レンズの配置を接眼側と対物側とで逆にしたもの。光学性に優れ、小型・軽量に設計できますが、目の幅の内側に対物レンズを配置するので、対物レンズは口径15~25mm程度の小さなものに限られます。


フォーカシング方式

CF(Center Focusing)方式

中央のピント合わせリングを使って左右同時にピント合せをする方式で、素早くピント合わせができます。左右の視力差に対応するための視度調整リングが付いていることもあります。

IF(Individual Focusing)方式

片眼ずつ視度調整リングを回してピントを合わせる方式です。

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