ホーム > イベント&キャンペーン > イベント > ギャラリー開催 過去の写真展 > 秋月 岩魚 写真展 「旅へ」~刻まれた時間~
写真を始めたのは10代の終わり頃で、シャッターを切ると時間が止まると教えられた。その意味は年をとってからも10代、20代、30代の自分と会えるということで、旅をすればその国や場所で過ごした時間や視覚と再会することができるという訳である。最初に写真展を開いたのは28才のときで渓流釣りをテーマにしたもので、その当時釣りの写真展は珍しく少し話題になった。それがきっかけで作家の開高健さんの家に出入りするようになるのだが、ある時二人で食事をしていると、開高さんが「君は何が撮りたいんや」と聞いてきたので、咄嗟に旅がしたいと答えたのを覚えている。その後開高さんの企画で伝説の湖を巡るという仕事で8ヶ国を訪ねたが、当初はこんなに海外を旅することになるとは思わなかった。もちろん仕事中心の写真を撮るのだが、写真家という人種はファインダーから眼を離している時も何かを視ている訳で、ある風景に反応してしまう。汚れたガラス、ガラスの反射、屈折、雨にぬれた窓、あるいは舗道、鏡に写った情景等々に強く惹かれるようになった。視る人によってはよく分からないと思われるかもしれないが、私的な映像とはこんなものなのではないだろうか。もし共感を覚えてくれる方がいれば嬉しいのだが、今回の作品はそんな私の旅のポートフォリオである。
秋月 岩魚(あきづき いわな)
1947年山形県の朝日連峰の麓で生まれる。
67年から趣味で写真を始め、78年からフリーランスの写真家となる。
フィッシングを中心としたアウトドア関連、アドベンチャーもの、旅ものを志向し、国内はもとより世界各地を取材。
コマーシャル、雑誌などで幅広く活躍中。開いた個展は「山釣りの旅」「自然の詩」「釣人心像」「旅の回想」など多数。主要著書には「釣人心像」「イワナ棲む山里」「奥只見物語」「ブラックバスがメダカを食う」「警告!ますます広がるブラックバス汚染」がある。