四方を海に囲まれた日本には、岬の突端、海図でいうところの『埼』には必ずと言っていいほど灯台が建っています。
小さい頃、海の近くに住んでいました、休日になると釣りに行く父親の後を追いかけて港へ、夕方になると防波堤の赤灯台が点灯をはじめます、点いては消える灯台の明かりを、飽きもせずに、ずっと眺めているゴム草履にランニング、短パン、イガグリ頭、そんな時代の少年でした。
木枯らしの冬、当時、学校帰りの遊び場だった葦の原っぱからも赤灯台が見えてました。
それから長い歳月が流れ、ボクは灯台を撮り始めた。撮りたい、撮らなければとの思いに駆られたのは、それが、どの記憶のピースだったのか定かではないのですが、気がつけば灯台が好きになっていました。
灯台の音って聴かれたことありますか? 日暮れになると点灯し、朝焼けととも消灯、雨の日も風の日も休まず、過酷な夜間勤務なのに、明かりを灯す灯器が奏でる音色って優しいんですよね。そして、仕事を終えて停まる時の音が、コレがまたいいんですよ。「暗くなるまで少し休ませてくれヨ」ってカンジにコトって停まるんです。それぞれに個性があって音色がみんな違います。なんて蘊蓄をダラダラと書き綴ってる場合じゃないですよね。
灯台は泰然自若として何時もソコにあるのに天候が、「朝焼けを期待してたのに、何だ、この雨は」なんて、自然と対峙してれば至極当然のことなのですが、イヤハヤ自分がイメージした絵に近づけるために何度も通った灯台もあれば、一度きりで撮り終えることのできたビギナーズラックな灯台もあります。
音色の聴こえてくる灯台に1つでも出会えて、優しい気持ちになっていただければ幸いです。
ぜひ会場に足を運んでみてください。
出展数 カラー 約40点
(c)岡 克己
倉敷生まれ 写真家・中村昭夫氏に師事
月刊誌「おかあさんなぜ?」写真部などを経て1980年からフリーランス、以後、エディトリアルを中心に活動
社団法人日本写真家協会会員
【主な写真展】
「或る自然」二人展(オリンパスギャラリー)
「季節の中で。」(オリンパスギャラリー)
著書に「ズームアップ写真術」(二見書房)などがある
【今後の写真展開催予定】
京都・ギャラリー古都 期間:2010年7月1日(木)~7月6日(火)
午前11:00~午後7:00 最終日 午後3:00
お問い合わせ:ギャラリー古都 TEL 075-257-2666